嵐にも曲提供したシンガーソングライターの岡部真由美です。
あなたは歌のレパートリーをどのような観点で選びますか?
「感動する曲」は、いわゆる「いい曲」なので、自分で歌っていても気持ちがいいですよね。
好きな歌手がいれば、その方の曲をかたっぱしから練習して、カラオケなどで披露しているかもしれません。
でも、声質は人それぞれちがうので、あこがれのアーティストでも、
「自分の声では表現できない」 という場合もありますよね。
私も歌をはじめたころは、チャカ・カーンやアレサ・フランクリンが大好きでした。
アメリカのソウルシンガーです。
太い声で、パワフルに、低い声から高い声まで、情熱的に歌うスタイルにあこがれて、
歌い方を真似て練習していました。
しかし、アフリカ系アメリカ人と日本人では、骨格や体型が全くちがうので、
私には彼女たちのような「太い声」や「パンチのある声」、「シャウト」のようなことはできませんでした。
もっともっと太ったら、あんな声が出るかしら!? とがんばって太ろうとしたこともありましたが、
せいぜい増えて2kgぐらい、、、。
本気で目指していたんですけど、あるとき「自分には自分の良さがある!」と気付きました。
それからは、練習する曲もいろいろと移り変わっていきました。
私のボーカルスクールに来られる方も、「この曲が練習したい!」と持ってこられる曲は、
かなりむずかしかったり、その方の声とかけ離れている歌だったり、ということが多かったです。
感動する曲でも、好きな曲でも、あなたを活かす曲、活かさない曲というものがあります。
まずは、自分の魅力が引き出される曲を選ぶのがいいです。
あなたが歌って聴衆が感動する曲。それはどんな曲なのでしょうか?
今回は、どうやって自分にぴったりの曲(レパートリー)を選ぶのかをお伝えしたいと思います。
近い目標と、遠い目標を設定する
カラオケランキングのサイトをみて、何曲歌えるかな~なんて数えてみるのもいいですよね。
古い曲でも、いい曲は歌い継がれているんだな~と感じます。
世の中の音楽を見渡してみて、自分はこのジャンルが好きだな~と、もう好みがはっきりある方は、
進むべき道が見えています。
ぜひ、そのジャンルを極めて行ってください。
でも、「まだ知らないジャンルや知らないアーティスト、曲がたくさんあって、
決められない。何が好きなのかわからない。」
という方がいます。
今はYou Tubeで、たくさんの曲を無料で聞けますし、
知りたいこともインターネットで何でもすぐに調べられますよね。
ぜひ、興味を持って探求してみてください。
または、近くに音楽の歴史や、世界の音楽に詳しいお友達や知り合いはいませんか?
もしおられたらぜひ、質問してみてください。
喜んで、さまざまな情報を教えてくれるはずです。
自分の好きなことを人に話すのって、みんなうれしいものですから。
私も今まで、いろんな方の音楽観をうかがって、たくさん影響されてきたし、
いい曲もいっぱい教えてもらいました。
そしてますます音楽が好きになっていったのを覚えています。
その曲が生まれたエピソードなんかを知ると、その曲がもっと愛おしくなったりします。
今でも新しく曲を覚えるときは、その曲が生まれた時代やエピソードを調べます。
映画の主題歌になっている曲などは、その映画を必ず観ます。
すると、歌詞の意味もよくわかるし、その曲に対する愛着が増します。
そんな気持ちで歌えば、聴いているお客さんにも伝わると思っていますし、
初めてその曲を聴いたお客さんにも、この曲を好きになってほしいな~という思いもあります。
曲は、作曲家がいて、作詞家がいて、編曲者がいて、
演奏者(バンドやオーケストラ)がいて、歌い手がいます。
(シンガーソングライターの曲は作詞・作曲・歌をすべて自分で作る人のことですが、
編曲者や演奏者は協力していることが多いです。)
(またバンドの曲も、作詞・作曲・歌はそのバンドで作っていても、
編曲者や演奏者は他にいるということもあります。)
そんなふうに、さまざまな人たちの思いがあって作られているということを、とても深いところでわかって歌うことが、
歌手には必要だなと思っています。
まずは、自分自身で近い目標をたてることから始めてみましょう。
なんでもいいんです。
生活のことでもいいし、歌のことでもいいし、自分がちょっとがんばれば達成できそうな目標をたててみてください。
達成できたらとてもうれしいし、もうちょっとがんばってみようという気持ちも出てきます。
今月はこの曲を覚えよう!という目標であれば、いろいろ悩むことなく、決めた曲をただひたすら練習できます。
これを1年続ければ、12曲も覚えられますよね!!12曲あれば、ライブできますよ。
そして、5年後、10年後の目標も同時に持っておきましょう。
5年後は何歳になっていますか?10年後は?
自分の人生をしっかり考える、「よい機会」になりますね。
しっかりイメージできたら、現実になりますよ。
今から未来のことを少しづつ考えていきましょうね。
そして、階段を一段一段登っていくように、夢を叶えていってほしいです。
聴いて感動する曲を、自分の歌で感動させるためのコツ
初めて聴いたときから、「うわ~、いい曲♡」と感じ、何度も聴いてどんどん好きになったお気に入りの曲があったとします。
原曲の歌手の声が好きだったり、歌い方も好きになると、自然と耳でそのスタイルを真似ていることがあります。
でも、なんとなくなので、メロディーを覚えたとしても、録音してみると「全然ちがう!!」という結果になります。
最初はなんでも、「コピーする」ということが大切です。
どこで息を吸っているか、声の感じは明るい?暗い?
また、弱くや強くなど、言葉の強弱もあるはずです。
歌詞がはっきり聞こえるように、大きな口を開けて、滑舌もしっかりさせる必要があります。
同じフレーズを繰り返し聴きながら、少しづつコピーを進めていってください。
しかし、歌で人を感動させるということは、本当にむずかしいです。
なぜか?
聴いている人に、その曲の世界に集中してもらうためには、とても技術がいるからです。
たとえば、音程が少しでもくるうと、そこで集中が途切れます。
「あれ?なんか今変だったよね?」と。
また、歌詞も聴き取れなければ、「今なんて言ってたの?」と、
そこで頭の中に?が出てきて、我に返ってしまうのです。
音程も完璧、言葉もしっかり聴こえて、リズムもくるうことなく歌い、表現していたら、
聴いている人は、じゃまされることなく最後まで、その曲の世界に入り込んで楽しめます。
そのために、歌手は技術を磨かなければなりません。
安定しない歌では、全く曲の世界に入ることはできません。
別のことばかりが気になって、歌詞の世界なんて全く感じられない状態になってしまいます。
「感動する曲」は、歌手が完璧に歌い、表現するからこその「感動」なんです。
国内外の歌の上手い歌手の皆さんの表現力は、本当にすばらしいです。
「同じ人間なんだから、あの人にできて、私にできないはずがない!!」と、思ってくださいね。
「自分はなぜ、あの歌に感動するのか?」という疑問を大切に、しっかりと分析するのも必要です。
「あの歌手と、自分との違い」を、ひとつずつ検証するのも成長のきっかけとなります。
今はできないけど、1ヶ月後にはできるようになっているかもしれません。
人間は死ぬまで成長できるのです。
自分の歌をしっかりと見つめて、正しい方法で取り組み、達成していってほしいと思います。
時代によって、人々に求められる曲は違う
音楽には、さまざまな法則があります。
たとえば、コード進行。
楽器を全く演奏しない人には少しむずかしいですが、曲にはコード進行があります。
同じコード進行で、たくさんの名曲が生まれています。
なので、誰でも知らず知らずのうちに、お気に入りのコード進行があるんだな!と感じています。
私が作曲家になった2000年前後は、ミスチルやB’z、ZARD、や小室ファミリーなどが大活躍していた時代でした。
歌詞はとにかく「具体的に!」というコンセプトで、
どんな男女が、どこで出会って、どんなアクシデントがあって、どうした、、、
という、すべて設定されたシュチエーションの歌詞が必要でした。
頭の中に、その男女が思い浮かばないとダメだったんです。
曲も、「こんな感じの曲で!」という、課題曲が決まっていて、
まったく同じコード進行で作って!
というのがほとんどでした。
最初はなんだか「魂を売った」感があって、辛いときもありましたが、
「仕事なんだから、要望に答えないと!」というプロ意識も芽生えてきて、
当時、たくさんの作曲コンペに参加しました。
しかしその後、10年ぐらい経つと
求められる歌詞の世界ががらっと変わりました。
青山テルマ「そばにいるね」や、AIの「Story」などのように、
日常の会話のような歌詞が求められるようになりました。
いわゆる作詞家が書くような「プロっぽい、キラキラした歌詞」は、すたれていったのです。
心の時代になったんですね。
恋愛よりも友情の歌詞が多くなりました。
そして最近は、また歌詞の世界が変わってきましたよね。
ボーカロイドの出現で、歌詞の世界観もファンタジーなものが増えてきました。
また、女の子のアイドルたちも大人気なので、
それぞれのグループで特徴を出そうと、歌詞もおもしろいものがありますよね。
またK-POPの曲なんかは、韓国語のニュアンスをそのまま日本語にしていたりして、
意味不明だけどメロディーにのっていて、リズムのキレがいい!!
とにかくかっこいい!!と思ってしまいます。
しかし、カラオケランキングトップ10には、
中島みゆきさんの糸とか、スピッツの名曲や、尾崎豊さんのI Love Youなんかが常に上位に入っています。
さまざまな曲が、世の中にはあふれていますね。
人それぞれ、音楽というツールで大いに楽しんでほしいと思います。
まとめ
感動する曲は人それぞれである。
自分の感動する曲を求めて、興味を持って音楽観を広げてほしい。
自分の歌で人を感動させるには、かなりの技術が必要となる。高い理想をかかげて練習に励んでほしい。
時代によって流行する曲は変わるが、同時に普遍的な曲も存在する。
最後までお読みくださりありがとうございました。